EOS Rを使い始めてから3年が経ちました。RFレンズのRF24-240mm F4-6.3 IS USMと、コントロールリングアダプターを介したEFレンズを使って感じた印象のレビューです。
キャノン初のフルサイズミラーレス。一眼レフ機から乗り換えたら正直使いにくいところもあるのではないかと思っていたのですが、予想外の使いやすさでした。
Canon最初のフルサイズミラーレスカメラ
操作系は使いにくいと言う声が多いがカスタムでなんとでもなる
ボディ内手ぶれ補正はなし
EOS Rの特徴
キヤノン最初の「フルサイズ」ミラーレス機
CANON EOS Rはキヤノン初の「フルサイズ」ミラーレス。
マウントも新しいものになりましたが、手厚く用意された純正マウントアダプターを使えば一眼レフモデルのEFレンズがそのまま使用できます。
軽い小さい
CANON EOS Rの大きさは、スペックでいうと約135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(奥行)mm、重さは約580g。小型軽量フルサイズをうたう6DMark2よりもひと回り小さいです。
ボディが小さいのはミラーレスのアドバンテージですね。
EFレンズ用のアダプターはちょっとした厚み
EFレンズを使うために「コントロールリングマウントアダプター」を装着すると、その分の2cmほどレンズが前に出ることになり、重量もアダプター分の130gがプラスされることになります。
アダプターをつけたままカメラバッグに入れると、5Dなどのレフ機よりむしろ厚みが出るのがちょっと気になります。カバンには押し込めるので許容範囲ですが。
アダプターについて詳しくは後述します。
バッテリーは5D系と同じ「LP-E6N」
使用バッテリーは5D・6Dなどの一眼レフ機と同じ「LP-E6N」というモデルです。予備バッテリーを使い回せるのは嬉しいですね。
撮影枚数でいうと一眼レフ機のときよりも少ない印象。環境によりますが4~5時間撮影しっぱなしでバッテリー切れになります。撮影枚数は意外と影響がなく、駆動時間?で減っているように思います。「液晶の明るさ」の設定にもよるかも。
スペックは上位モデル並み
シャッタースピードは1/8000まで設定可能
EOS Rのシャッタースピードは1/8000まで設定可能です。これは5D系と同じ数値。ちなみに6D系は1/4000までしか設定できません。
外での撮影で明るいレンズを使うと日なたで1/2000を超えるのが常なので、一段分余裕があるのは安心です。
余談ですが高輝度階調優先機能という白飛びを抑えてくれる機能が優秀で常にオンにしているのですが、これを設定していると感度の下限がISO200になってしまうんですね。それで余計に明るくなってしまうという。
ISO感度は40000
暗所でのスナップ撮影には心強い常用感度最高ISO40000。さすがに最高に設定するとノイズがすごいですが、スナップ撮影なら画像をよほど引き伸ばさない限り大丈夫な気がします。暗くて撮れないくらいなら画質ざらざらでも撮れたほうが良いという意見も。
バリアングル液晶そしてタッチパネル
実質ハイエンドレフ機の5D系にはなかったバリアングル液晶が採用されています。そしてタッチパネル。
バリアングル液晶は壊れやすさを考えて上位機種に採用されないとの説がありますが、タッチパネルを採用しない理由はもはやないかもしれませんね。
アダプターがよかった
CANON EOS RはRFマウントですが、対応するRFレンズはまだ新しく高い。
そこでRFマウントのEOS RにEFレンズを装着するためのアダプター、「CR-EF-EOSR」。
キヤノン一眼レフユーザーがEOS Rを買う場合、使っていたレンズがこれまで通り使えるのはかなりのメリットです。それでなくともEFレンズは中古で安く出回っていたりするので、手軽にレンズの幅を増やしたい方には良いのではないでしょうか。
コントロールリング付きのアダプターの価格は25,000円ほど。コントロールリングで操作系がひとつふえることはかなりのメリットがありました。
かなりしっかりした作り
コントロールリングアダプターの厚みは24㎜でパンケーキレンズくらいのサイズ感。これが精巧な作りで、重いレンズをつけても安心感があります。
AF・手ブレ補正は問題なし
「EF24-105mm F4L IS II USM」、「EF70-200mm F4L IS USM」などのEFレンズを使用しましたが、AF・手ブレ補正ともに正常に作動しました。
コントロールリングの操作性がよかった
コントロールリングはクリック感がありますが、回す動作をほとんど邪魔しない程度のものです。
ここにISO感度の設定を割り当てていますが、これでシャッタースピード・絞り・ISO感度の三要素がひとつの動作で変更できます。
レンズの根元にコントロールリングがある形なので、レンズを支える左手の薬指や小指を使って操作するイメージです。
一眼レフだとISO感度を変えるのに「ボタン→ダイヤル操作」と2タッチ必要だったので操作性は上がりました。
EOS Rで撮影の仕方が変わった
ファインダーを覗かないで済む
EOS Rはファインダー(EVF)を使っても、背面液晶を使って一眼レフのライブビュー状態にしても、フォーカスの速さが変わりません。
液晶を見ながらでも、一点フォーカスも顔認識フォーカスも使いやすい!
電子式ファインダーに慣れていないせいもあってか、ファインダーを覗かず背面液晶でのライブビュー撮影がほとんどになりました。
腕が疲れない
ファインダーを覗く=必然的にカメラ位置は目の高さになるのですが、液晶を見ていれば胸の高さでカメラを構えることができます。
これが意外と楽で、胸の高さから目の高さまでカメラを持ち上げる動きがないだけで腕の疲労感が全然違います。
脚が疲れない
たとえば自分の腰くらいの位置にカメラを構えて撮ろうと思った場合。
ファインダーを覗いたままカメラ位置を下げようとすればしゃがむことになります。しゃがんだままはつらいし立ってしゃがんでの動きもつらい。
EOS Rならバリアングル液晶をぱかっと出せば2眼レフよろしくカメラを抱えたまま歩き回って撮影できます。
機動力があがった◎
とにかく動き回って撮影するのが楽になりました。特にローアングルで移動しながら撮るのは一眼レフ機ではなかなか大変です。
ちなみにカメラ内メニューの「表示先設定」から、ファインダーに情報を表示するか背面液晶に表示するかを選べます。ファインダーに目を近づけた時だけ電子ファインダーに切り替えてくれる自動モードもあります。
気になる点
新機能「マルチファンクションバー」は使いにくい
カメラ背面に設置されたマルチファンクションバー。スライドしたりタップしたりで3つのアクションが可能になっています。
これが親指がいい感じに当たる位置にあり、操作は楽々行えます。
しかし、いい感じの位置にありすぎて、撮影中意図せずタップしてしまうことが多々。ミスタッチが多いので、結局オフにして使っています。
この機能、EOS R5、R6には採用されませんでした。とりあえずつけてみてダメなら外す方針なのでしょうね。
カメラマンらしさは減る
撮影している姿でいえば、ファインダーを覗いている方がかっこいい気がします。腰にカメラを構えてそれをのぞき込みながらウロウロするのははたから見てちょっとダサい可能性があります。
カードスロットがひとつ
EOS RのカードスロットはSDカードのみの1スロットです。小型化を優先したのか、あくまでアマチュア向けモデルという位置づけなのか。
EOS R5、R6はカードスロットが二つ!よりプロ向けになりました。
ボディ内手振れ補正がない
今まで使った一眼レフ機にはなかったのであんまり気になりません。ソニーやら他メーカーのミラーレス機ではすごいボディ内手ぶれ補正がついているそうですね。他社のミラーレス機とスペック比較とかすると物足りないものがあるかもしれません。
EOS Rの価格
EOS Rの価格は、ボディのみで最安22万円程度からになっています。(2024年10月現在)
コロナやら円安やらがあり一時期からかなりあがりましたね。
2029年に修理対応のサポート終了するとのことなので要注意ですが、撮影頻度が高くないなら使い潰すつもりで買うのもありかもしれません。
あとはメーカー修理が終了しているカメラでも、部品がある限り受け付けてくれる修理業者もいるので、不安な方は一度調べてみてもいいかもしれません。
EOS Rのスペック
記録媒体 | SDカード・シングルスロット |
センサーサイズ | フルサイズ |
使用レンズ | キヤノンRFマウント (アダプター使用時 キヤノンEFマウント) |
画素数 | 約3030万画素 |
ファインダー | あり(電子式) |
ISO感度 | 100〜40000 (拡張ISO102400) |
フリッカー低減 | 可 |
多重露出撮影 | 2〜9枚 |
シャッタースピード | 1/8000〜30秒 ストロボ同調1/200 |
ドライブモード | 1枚撮影 高速/低速連続撮影 セルフタイマー10秒/2秒 |
連続撮影速度 | 最高約8.0コマ/秒 |
ライブビュー (モニター表示) | 顔+追尾優先AF タッチシャッター可 グリッド表示3種類 |
動画撮影機能 | 記録形式:MP4 記録サイズ4K・Full HD 4Kタイムラプス 他 |
Wi-Fi機能 | ・スマートフォン 画像の閲覧・操作・受信 ・プリンター ・他 |
使用電池 | ・バッテリーパック LP-E6N/LP-E6 |
大きさ | 約135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(奥行)mm |
重さ | 約660g(バッテリー、カードを含む) |
RFレンズの普及に期待
ミラーレス機構を生かした設計ができるRFマウントには、今までにない性能のレンズが続々登場しています。大口径標準域ズームレンズ「RF28-70mm F2 L USM」や「RF85mm F1.2 L USM」はかなり気になるところ。
おいそれと手を出せる値段ではありませんが、玉数が出て中古市場に流通するようになるにはすこし時間がかかりそうです。